「好きです。付き合ってください」

気になる人から発せられた、真っ直ぐなその言葉。
つまらないわたしの人生から、やっと抜け出せるような気がして。
今まで頑張ってきたことがやっと報われた気がしたんだ。

でも。

* 11月

「立候補者はいませんか?」

静まり返る教室。
私はこの瞬間が一番嫌い。
なんだか、みんなが
責任を押し付け合ってるみたいで。
教壇の前に立つとみんなの視線が下がっていくのがよくわかる。

私は、河野と目を合わせた。

「誰もいないなら、私と河野くんがやります。
あと2人、必要なのですが…」

卒業記念委員 男女各二名。

黒板に書かれたその言葉の隣に、
河野が「河野・松田」と書き加える。

みんなが視線を下げたまま動かない中、
1人の視線がカッと上がる。