でも、陽菜の家は河野の家のすぐ裏。

断れなかった。

「今日、直接塾に行く日だった!一緒に帰れない、ごめんね」

私は、咄嗟に嘘をついた。

「えー。それは残念。せっかく一緒に帰れると思ったのにい」

陽菜の声のトーンが少し上がる。

喜んでいるのがバレバレだった。

「残念だな。気をつけて帰れよ?」

「うん!じゃあね!!」

私は2人に手を振って、通学路と反対の道に進んだ。

いつもこうだった。

嫌われるのが怖くて、私は逃げてばかり。

陽菜に振り回されてばっかりだ。

河野は優しい。

優しいから、私のことも陽菜のことも傷つけないようにしている。

仕方なく、私は塾へ行って自習することにした。

卒業記念委員なんか早く終わって欲しかった。