「じゃ」

瀬戸は私達の顔も見ずに背を向けて、
足早に帰って行った。

「慧とののちゃんっていつも一緒に帰ってるよね?」

「うん、そうだけど」

中学生ということもあり、ろくにデートも出来ない、私達にとって唯一二人っきりの時間。

それが帰り道だ。

慧の通学路中に私の家があるから、毎日送って貰っているみたいになっている。

「今日は私も一緒に帰っていい?」

陽菜の視線は私に向いていた。

私が断るわけないと分かっているのだろう。

「結局、道一緒だもんな。松田、いいか?」

慧に言われたら、益々言えない。

本当は嫌だよ。

こんな、気まずい状況今すぐ終わらしたい。