「なあ、若葉。お前って、
高校はどうするか決めてんの?」
「高校?私は……」
ちらっと陸の顔を見る。
ぶっちゃけ高校なんてなんでもいい。
可愛い制服を着れてわりと自由な校風であればどこでも。
但し、レベルの低いとこに限る……。
「り、陸は?」
「俺は……若葉と同じところかな」
「えっ……?」
「ほら、高校離れたりしたら嫌かなって」
「それって私のため?」
「おう」
嬉しいと同時に、
陸の一言が胸に突き刺さる。
こんなに私を想ってくれているのは
私が“嘘”をついたからだ。
そんな後ろめたさに押しつぶされそうで、
なんだか怖い。
でもいつかは言わなくちゃいけないよね。
だけど今じゃない。
もう少し、もう少しだけ……。
「私は西高にしようかな」
「西高かー、そういえばお前、勉強は出来んの?」
「す、少しは出来るもん」
「そういえばこの前のテスト、散々だったよな」
「笑うなっ!!」
ははっと笑う陸を見ると癒される。
彼氏ってこんなもんなんだ、とか、
女の子って幸せだな、とか。
現実から目を逸らすように、
ただただ陸の姿を目に焼きつけるように、
私は陸とのこの幸せな時間が止まればいいのにとさえ思った。