お昼休みになって、
由紀乃とご飯を食べていると、歩夢が私のところへ来た。


「なに?」


「お客さんだよ。男の」


「お客?」


ドアの方を見ると、陸が手を振っていた。


「陸」


「お邪魔しまーす。
 おっ?若葉、この子友達?」


「うん。友達の由紀乃。この人は陸」


私が両方の紹介をすると、
二人は同時に頭をさげた。


「麻生由紀乃です」


「佐々木陸ですよろしく」


由紀乃は私を見て、口を開いた。


「ねえ、この人かっこいいけど、若葉の彼氏?」


「う、うん。一応……」


「いいな~羨ましいよー」


由紀乃がニコニコしながら私と陸を交互に見た。


羨ましい、か。私も前はそう思ってた。


彼氏や彼女が出来る人たちに
憧れを抱いてここまで来た。


本当は私もまだ、
そっち側の人間なんだけれど……。


「俺もここで飯食っていい?」


「どうぞどうぞ!
 なんなら二人きりにしてあげます?」


「由紀乃、いいから」


陸が椅子に座った時、上から声が聞こえた。