3月。
ようやく受験も終わり、
無事西高に合格出来た私は
陸と遊園地に来ていた。


遊園地、動物園、水族館。
私は断然、遊園地!


楽しみ過ぎて昨日は眠れなかったくらい。


「陸!今日は遊園地楽しもうね♪」


「おう」


遊園地と言えば絶叫系!


ついつい子どものようにはしゃぐ私と、
保護者のように微笑ましく私を見つめる陸。


精神年齢の差は歴然だった。


「若葉。改めて、合格おめでとう」


「陸もね。おめでとう」


2人で並んでベンチに座る。


「ねえ陸。本当に西高で良かったの?」


「なんで?何するにも一緒のほうがよくない?」


「そうだけど……」


「あんまり気にすんなよ。どうせ記憶障害のこと、
 お前しか知らないんだから、
 高校もお前と一緒のほうが何かと助かるし」


「そっか」


記憶障害。
危なく忘れるところだった。私の“嘘”を。


楽しいはずの遊園地。
でも陸と私は本当の恋人じゃない。


いつかはバレてしまう“嘘”


だけどせめて、もう少しこの幸せに浸りたい。


陸と再会してから私は変わったような気がする。


ちゃんと、女の子なんだって初めて実感した。


見上げた空は、雲ひとつない晴天だった。