「明けましておめでとう」


「お、おめでとう」


年も明けて、受験勉強に専念していた私のところに、
陸が遊びにきた。


明けまして、
なんてかしこまって言われるとなんだかくすぐったい。


「ほら、出かけるぞ!」


「で、出かけるって私勉強……」


「後で見てやるからさ。行きたいとこあるんだ」


「ちょ、ちょっと、陸!」


笑顔で私の手を掴む陸は、
なんだか幼い少年のよう。


私は部屋着のまま、外に連れ出された。


「どこに行くの?」


「ふふ、どこだと思う?」


「分からないから聞いてるんじゃない」


「あ、ほら、着いた」


着いたのは近くの神社。


初詣の人だかりで混雑している神社は
さすがに目が回りそう……。


「ちょっとここで待ってて!」


「え?陸!?」


陸は神社の入り口で私の手を離すと
どこかへと行ってしまった。






途方に暮れていると、人とぶつかってしまう。



人垣をかきわけて進もうとして、またぶつかる。



陸、早く戻ってきて……。









「おい、若葉!」


ふいに腕を掴まれて、後ろに引かれる。


振り向くとそこには息を切らした陸がいた。