陸と並んで隣を歩く。
陸と私は身長差がほとんどない。
つまりは陸が男の子にしては背が低いのね。
同じ目線で並ぶと、
陸の横顔がはっきりと見えた。
「何見てんだよ」
「べ、別に陸の顔なんか見てないし」
「へえ。俺の顔見てたんだ?」
「ち、違うってば!」
「騒ぐなよ。ほら、着いた」
陸が笑って指を指す。
そこには小さなアパートが建っていた。
「ここが陸の家?」
「ああ、ばあちゃんと二人にしてはちょうどいい。
バリアフリーもあるし、住みやすいだろうから」
おばあちゃんのこと、凄く大事にしてるんだ。
陸って、優しいのね。
昔だって優しかったけど、
あの頃の陸は臆病者でかっこいいとは言えないほど
かわいい男の子だった。
「おばあちゃん、具合はどう?」
「あんまり良いとは言えないな。
それより、お前とばあちゃんって、
会ったことあるか?」
「ううん、ないよ」
「そっか。ばあちゃんきっと、喜ぶよ」
「えっ?」
「さ、入って勉強会だ」
「お、お邪魔しまーす……」
静寂の中、奥のほうから声がした。