子供の頃を、
私は今でも鮮明に覚えている。


女の子とままごとをするよりかは、
男の子に交じって木登りや戦闘ごっこをするような、
元気だけが取り柄の女の子。



それが私、二宮若葉。




特に仲の良かった高木陸とは
家が隣同士でよく一緒に帰ったりもした。


暇なときは互いの家に遊びに行っては
二人でバカ騒ぎをする。


とにかく当時の私はやんちゃ娘だった。







『ねえ、陸』




『なに?若葉』




『おとなになったら、私、
 陸のお嫁さんになるからね』





『約束だよ?』




『うん!約束!』




『ゆーびきーりげーんまーん♪』





近くの公園で誓い合った約束。
私は今でもその約束を覚えてる。


一度たりとも、忘れたことはなかった。


けれど、小学校へ入学した日、
そこに陸の姿は見当たらなかった。


陸は何も言わずに、どこかへと行ってしまった。


探しても、探しても、陸はどこにもいない。


私はその日、声をあげて泣き続けた。