祖母は重い病気にかかっていた。

でも、祖母は入院はせず、ずっと机とにらめ

っこしていた。

毎晩毎晩徹夜して、目の下にくまができてし

まうほど頑張っているその背中を誰よりも近

くで見ていた。

「なんの小説書いてるの?」

そう聞くと、

「これは、とても大切な物語だから終わった

ら教えるわね。」

そう言い笑顔で微笑みながら、私の頭を優し

く撫でた。

少し冷たい手……。

そう思いながらも私は、「分かった。」と言

い近くで見ていた。