私の幻想はホントにあった

そして、昼休憩が終わり、

5時間目や6時間目も終わった。





ホームルームが始まった。





「え~、夏休みまで、あと約1週間ですが、

皆さん、最後まで気を抜かないで頑張ってください。

夏休みが近いですが、

今日は、特に、これといって、言う事はありません」





〝キーンコーンカーンコーン〟





聖子がミリカに声をかけてきた。





「ねぇ、ミリカ、一緒に帰ろう」

「うん」





帰り道で・・・・・・





「ねぇ、ミリカ、もうすぐ夏休みだね」

「うん。そうだね」

「アレ?何か、楽しみじゃなさそう」

「そう?ミリカは、何かやりたい事あるの?」

「う~ん・・・ないかな~・・・」

「へ~!意外!!超ロマンチストで妄想家なミリカが!!」

「何よそれ!!(笑)」

「あ~、ごめんごめん!!(笑)」

「あ~、でも!」

「ん?」

「やりたい事はないけど、やる事はある!!」

「え?それは何?」

「大阪のおばあちゃんの家に行くの!!」

「へ~!!良いじゃん!!楽しそう!!」

「うん!!」





しばらく歩いたところで、

道が違うミリカと聖子は別れた。





「じゃあね~!バイバ~イ!!」
その後、ミリカは歩きながら独り言を言っていた。





「おばあちゃん家に行くの、楽しみだな~!!」





やがて、家に着いた。





「ただいま~!」





「お帰り~!」





ミリカの母が言った。





「もうすぐ夏休みだけど、大阪に行くの、楽しみね!!」

「そうだね!!」

「久しぶりに行くけど、おばあちゃん、元気かしら?」

「きっと、元気にしてるよ!!」

「そうね!!」





それから、ミリカは、自分の部屋に入った。





「おばあちゃん、今頃、どうしてんのかな~?

会うの、久しぶりだから、とっても楽しみだな~!!

他の色んな人達に会うのも楽しみだけど!!」





そんな事を考えていた。





やがて、夜になった。





リビングで家族揃って晩ご飯を食べる。





「いただきま~す!!」





ミリカの妹のアミも

「お姉ちゃん、大阪に行くの、凄く楽しみだね!!」と言った。

「うん!!」





ミリカの母も、

「ワクワクするわよね!!大分久しぶりだもんね!!」と言う。

アミは、

「うん!!あ~、おばあちゃん家に着いたら何しよう!!」と言う。

ミリカは、

(おばあちゃん家で何するかは考えてなかった)と思っていた。





(そういえば、おばあちゃん家で何しよっかな~?

〝いつもと違う事が出来る〟っていったら、それは、何だろう?)
次の日、7月16日(土)の事。





この日の昼、ミリカは、リビングのテレビで

「Magic Sky World」というファンタジー映画を観ていた。





「やっぱり、カッコ良いし、素敵~!!」





そう、ミリカは、

幼い頃からずっとファンタジー作品が大好きで、

魔法を信じているのも、そのためである。





「お姉ちゃん、またそれ、観てる!!」とアミが言った。





「いや、だって、面白いじゃん!!」

「確かにそうだけど、良くそれだけ何回観ても

飽きないね~!!」

「何言ってんのよ!!この映画は名作よ!!

何回観ても飽きないどころか、

観れば観るほど深いんだから!!」

「は~。お姉ちゃんって、ホントにファンタジー好きね!!」

「だって、夢があるじゃん!!」

「ん~・・・確かに夢はあるけど・・・でも、

現実とフィクションは違うんだから、良い年だし、良い加減、もう、外でよその人達に〝魔法は現実にもある〟なんて

言わないでよね!!妹として、私、恥ずかしいから!!」

「もう!!うるさいな~!!」





ミリカは、それでもまだ、〝魔法〟をずっと信じ続けていた。





夜になり、ミリカは、自分の部屋に入った後、

ファンタジー小説を読んでいた。それは、

「不思議な国と夢見る少女」という作品だった。

「う~ん!!やっぱり、この小説も好き!!」と読みながら

独り言を言っていた。





7月17日(日)も、同じように1日中ファンタジーに浸って過ごした。
7月18日(月)。この日、また学校に行った。ミリカは、

授業と授業の合間の休憩時間、また、

「不思議な国と夢見る少女」を読んでいた。





聖子とは別のクラスメイトの「本田順子」がミリカに話しかけた。

ちょうどその時、聖子は、そこにはいなかった。





「あんた、ホント、毎日、魔法にばっかり浸ってるわね!!

良い加減、もう中学生なんだから、

もう少し違う本読むとか、何か現実味のある趣味持って、

魔法から離れなさいよ!!」

「え~!?そんなの、私の自由じゃん!!それに、

何で魔法が子供っぽいのよ!?」





「だって・・・そんなの、ホントはあるワケない、

人間が勝手に描いてる妄想でしかないし、第一、ダサいじゃん!!」

「あるワケない!?じゃあ、もし、本当にあったらどうするのよ!?

それに、〝ダサい〟って何よ!?」





そう、彼女は、ミリカをいつも馬鹿にする、イヤミな生徒だった。





聖子も、ミリカの言っている〝魔法〟について信じてはいないが、

順子のように馬鹿にはしていなかった。
やがて、また下校の時刻になった。





〝キーンコーンカーンコーン〟





いつも通り、聖子がミリカに声をかける。





「ミリカ、今日も、一緒に帰ろ!!」

「うん!!」





「ねぇ、ミリカ、あんた、この前、

〝夏休みに大阪のおばあちゃん家に行く〟って言ってたわよね?」

「うん。そうだけど?」

「良いわよね~!!私、大阪には、一度も行った事ないのよね!!」





「そうなの?」

「うん。大阪って〝たこ焼き〟が美味しいところよね!!」

「そうだよ!!でも、他にも色々、名物あるよ!!

〝焼きそば〟とか〝お好み焼き〟とか〝粉もん〟だけでも色々!!」

「〝粉もん〟?何それ?」

「名前の通り、〝たこ焼き〟や〝お好み焼き〟含めて、

〝粉〟を使って作る料理の事よ!!」

「へ~!そうなんだ~!!でも、食べる事自体は、

東京でもいつでも出来るけど、いつか本場のも食べてみたいな~!」

「そっか!でも、本場の、凄く美味しいよ!!」

「へ~!そう言われると、ますます食べたくなる!!」

「ぜひ、今度、食べてみて!!」

「うん!!」

「じゃあ、ミリカ、楽しんで来てね!!」

「うん!!じゃあ、バイバイ!!」

「バイバイ!!」





そして、いつも通り、ミリカは、途中で聖子と別れ、

帰っていった。
ここで、1日飛ばして、7月20日(水)。





この日、夏休み前の最後の登校日だった。だが、聖子は、

体調不良で欠席だった。





ミリカは、休憩時間、また、

「不思議な国と夢見る少女」を読んでいた。





読んでいると、また、順子が馬鹿にしてきた。





「あんた、またそんな本、読んでるの!?バッカみたい!!」





すると、順子は、ミリカから本を取り上げた。





〝バッ〟





「ちょっと!!何するの!?」

「こんなの、こうしてやるんだから~!!」





順子は、本の表紙にマジックで落書きをした。





〝キュキュキュキュ〟





「アッハッハッハ~!!

これで少しは、子供騙しなモノから離れなさい!!」

「子供騙し!?」

「そうよ!!あんた、こんな、いつまでもガキの空想に

浸ってないで、現実を見なさい!!」





すると、順子は、本を床に叩きつけた。





〝バン!!!〟





「あぁ~っ!!!」

「アッハッハッハッ!!」

「ヒド~い!!!」





そのまま、順子は、教室を出て行った。





「良い年して、いつまでもくだらない夢ばっかり見てるのが

悪いのよ!!」
そうして、時間が流れ、ホームルーム。





「え~、明日から夏休みです。楽しく遊ぶのも良いですが、

しっかり勉強して、宿題もしっかりやってきてください。

あと、クーラーのかかった部屋にこもりきりではいけません。

ちゃんと外に出て、運動もしっかりしましょう。そして、

熱中症にならないよう、水分補給、それから、塩分補給も

忘れないように。難しい事ですが」





夏休み前の最後の登校日が終わった。





〝キーンコーンカーンコーン〟





今日は、聖子が休んでいるため、ミリカは1人で帰った。





「あ~、今日は、せっかく夏休み前の最後の登校日なのに、

聖子がいないなんて~・・・寂しいし、つまらない」





いつもは聖子と一緒に帰るのが当たり前だったため、

1人で帰る今日がとても味気なかった。





やがて、また家に着いた。





「ただいま~」

「お帰り~」と、いつものように母が言った。

アレ?どうしたの?明日から夏休みなのに、

元気なさそうじゃない?」

「うん。色々あってね」

「そう。まぁ、でも、夏休みは、きっと良い事あるわよ!!」

「そうだね」

そうしてまた、ミリカは、自分の部屋に入った。

一方、母は、

(あの娘、何かあったのかしら?)と思っていた。





ミリカは、自分の部屋に入った後、順子に落書きされた愛読書

「魔法の国と夢見る少女」をカバンから取り出した。





「あ~あ~、大事な本なのに、ホント最悪。それに、何よ。

〝魔法が子供騙し〟なんて・・・は~。夏休み、

おばあちゃん家に行くのは楽しみだけど、他には特別やる事ないし、

良い事なんてあるのかな~・・・?」
3日飛ばして、7月23日(土)。





この日、いよいよ大阪のおばあちゃんの家へ行く日だった。





いつもは忙しい父も、今回の旅行のために2週間の休暇を

取っており、皆、早起きした。





「よ~し!じゃあ、皆、行きますか~!!」

「お~!!」





そうして、新幹線に乗った。

新幹線の中で、皆で駅弁を食べる。





「美味し~い!!」





しばらく時間が経ち、ミリカは、アイスクリームが食べたくなった。





「ねぇ、この新幹線の中の車内販売で、アイスクリーム、

売ってるわよね?私、前の車両に行って買ってくる!!」

「ちょ、ちょっと!!待ちなさい!!待ってれば、

こっちにも回ってくるわよ!!」と母が言う。





父も、同じように、

「そうだぞ!!大人しく待ってなさい!!」と言った。





「やだ~!!今すぐ食べたい!!」

「仕方ない子ね~。じゃあ、買ってきなさい」

「やった~!!」





父は、

「良いのかよ・・・」と、小声でつぶやいた。





「じゃあ、私、前の方の車両に行ってくる!!」

「気をつけてね~!!」

「は~い!!」





ミリカは、いくつか前の車両へ移動した。

自動ドアがいくつも開く。





〝ウイ~ン〟〝ウイ~ン〟





「アイス!アイス!」





すると・・・・・・





「え?何コレ?」
そこは、新幹線とは全く違う、西洋風の、ファンタジー作品にでも

出てきそうな列車だった。





目の前には、銃を持った男達と、その男達にロープで縛りつけられている人質を見た。





「え・・・?え~・・・!!??」





「助けて~~~!!!」





銃を持った男達は、その列車の運転手や乗客達に

「フッフッ、コイツらを返して欲しけりゃ、大人しく3000万フェリス持って来い」と言っている。





(フェ・・・フェリス?もしかして、身代金かな?とにかく、

何か、この人達、凄く怖い!!)





突然、目にする、この、今まで目にした事がないほど衝撃的で

残酷な様子を見て、ミリカは、とても怖がった。





「怖い・・・助けて・・・!!!」

「おい!!さっさと金、持ってこい!!!」





(どうすんの!?どうすんの!?コレ!!!」





すると・・・・・・





〝ガシャ~ン!!!〟