「おい。〝1000円〟って・・・・・・〝フェリス〟じゃないって事は、この国の金じゃねぇだろ。まぁ、それは、当然か。一体、この国だと、いくらぐらいの価値なんだ?でも、少なくとも、言うほど大金じゃねぇだろ」
すると、ゼドルは、
「いや、そうでもないよ。俺も、良く知らないけど、おそらく、
お前の言う通り、このお札自体は、ミリカの世界でも、大金じゃなかったんだと思う。でも、こんな金、見た事ないだろ?それに、
この世界の金と違って、何か、真ん中に、角度を変えると見える
不思議な絵が描いてあるから、良く出来たお札だよ。って事は、
売れば、物珍しがられもするし、相当な大金になるだろ。それに、
成功すれば、このボディーガード屋は、もっと評判が良くなるだろ?!」と言う。
「確かに!!じゃあ、やってやるか!!!」
「お~~~!!!」
「ありがとう!!!皆!!!」
ミリカも、「ありがとうございます!!!」と言う。
そして、また、ミリカは、ゼドルの部屋に入り、2人きりになった。
「ゼドル、本当にありがとう!!!」
「いえいえ」
「でも、私のお金を使ってあんな風に説得するなんて、頭が良いね!!!」
「そうかな?」
「うん!!!あ、そういえば、さっき、私を守れば、〝このボディーガード屋が評判が良くなる〟って言ってたけど、このお店は、評判が良くないの?」
「あ~・・・・・・まぁね・・・・・・」
「え~~~!?本当に!?皆、強いのに!?」
「うん。昔、ある有名な、とても優秀な医者の護衛を頼まれて、失敗して、死なせてしまった事があったんだ。その時、たくさんの人に怒られて、〝何で守れなかったんだ?〟って責められたし、そのせいで、治せる医者が少ない病気やケガを抱えた人達も、たくさん死んだり、後遺症が残ってしまったんだ。それで、信頼を失っちゃってね」
「そうなんだ。大変だったんだね」
「うん。でも、もし、今、たくさんのヤツらに狙われてるミリカを守り通す事が出来たら、きっと、また、信頼を取り戻せるだろう」
「そうだね!!出来たら良いね!!」
「うん!!」
「じゃあ、最後まで私を守りきって!!!ゼドル、本当にありがとうね!!!」
「ううん。これが俺の仕事だから、当然の事さ!!!」
「ゼドルって、ホントに優しいね!!!」
「いやいや!!!ミリカの方がよっぽど良い娘だよ!!!」
「ありがとう!!!」
「でもさ、ゼドルもゼドルの仲間のあの人達も、皆、凄く強いのに、守れなかった人がいたんだね」
「うん。まぁ、色々あったんだよ」
「そっか」
数日後・・・・・・
ミリカがギーゼフの靴を見て
「アレ?その靴、鉄の板が貼られてる!!」と言った。
「うん。そうだよ。コレは、戦うために必要なんだ」とギーゼフが答える。
「でも、その靴を何に使うの?」と言う。
「まぁ、見てりゃ分かるさ」
すると、また、ミリカを狙うヤツらが襲いかかってきた。今度は、前よりも、人数がもっと多く、店の周りも、たくさんの敵が囲んでいて、今回は、逃げられそうにない。
「来たか!良し!皆、分かってるな?!」と、ゼドルが言う。
「あぁ」
また、ギーゼフ以外のメンバーがガムを噛む。
「さぁ、今度こそ、大人しくその娘を渡してもらうぞ」
「ヘッ!させるかよ!!」
敵は、また、銃を撃ってきた。
〝ババババババババン〟
「ヘッ!同じ手を使ったってムダだぜ!!」
ゼドルは、また、〝handlingハンドリング〟で銃弾をひっくり返し、敵に向けて飛ばした。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!」
敵は、雷の魔法〝thunder voltサンダーボルト〟を使った。
〝バチバチ〟
ゼドルは、同じ魔法で相殺した。
〝シャ~ッ〟
「く~っ!!!」
そうやって、激しく火花を散らして戦った。
銃を持っている敵は、ヤケクソになって銃を撃った。しかし、
撃ち過ぎて、もう弾が残り少なかった。
そこで、ギーゼフが「俺がいく」と言った。
ギーゼフは、ジャンプした。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
〝ババババババババン〟
「うりゃ!!!」
〝カァン〟
ギーゼフは、鉄の板が貼られた靴で銃弾を蹴って跳ね返した。
「うっ!!!」
ミリカはとても驚いた。
「スゴ~イ!!!あっ!!あの鉄の板は、銃弾を跳ね返すためだったのか!!へ~!!凄い!!!」
「今のは、わざわざお前らが魔法を使うまでもなかったからな。それに、俺も、少しは〝やれる〟ってところを見せてやらねぇと」
危機的状況だが、ミリカは、「カッコ良い~!!!」と目を輝かせて興奮していた。
「うおぉぉぉぉぉぉ~!!!」
マシンガンを持った男がヤケクソになって銃をぶっ放した。
ゼドルが「伏せろ~!!!」と言い、皆、テーブルの下に隠れた。
〝ダダダダダダダダダダダダダダダダ〟
「クッソ~!!こんなたくさんの弾、〝hundlingハンドリング〟でも、全部は操れない!!どうしよう・・・・・・」
少し考えて、閃いた。
「そうだ!!!」
ゼドルは、ポケットからナイフを取り出し、マシンガンを持った男の手にナイフを投げつけた。
〝シャッ〟〝グサッ〟
「ぐあっ!!!」
敵は、マシンガンを落とした。
ゼドルが「ナイス!!チャンスだ!!!」と言う。
ギーゼフがマシンガンを拾い、敵のヤツらを脅す。
「どうだ!!まだやるか!?」
「ヒィィィィィ!!!」
ギーゼフは、マシンガンで、マシンガンを落とした敵の頭部を軽く殴り、気絶させた。
「うっ!!!」
〝ドサッ〟
「どうだ?まだやるか?」
「くっ!!!」
ミリカは、「つ・・・つよ~い・・・・・・」と言った。
「フッ。もう勝ったつもりか?忘れたのか?今、この建物の周りにも、俺達の仲間がいる。逃げたりは出来ないし、かといって、こんなにたくさんの人数をたった8人で倒せるか?」
ゼドルは「何言ってんだ。俺達をなめんなよ」と言う。
「くっ!!コイツら!!!」
敵のヤツらは、逃げようとした。
「逃げるぞ~!!」
ゼドルは、「逃がすな~!!」と言った。
ゼドルが風の魔法〝tornadoトルネード〟を使い、
ドロンが炎の魔法〝burningバーニング〟を使い、
フェルが氷の魔法〝icicleアイシクル〟を使い、敵を蹴散らした。
ゼドルが「よし!皆、外に出るぞ!!」と言う。
〝ダッダッダッダッダッダッダッダッ〟
ゼドルがたくさんの敵を斬ったり、ギーゼフが敵を殴ったり蹴ったり、その他のメンバー達も、剣や魔法で敵を倒しながら突き進んでいく。
そして、ゼドル達は、汽車に乗った。
「フ~ッ!!なかなかしぶといヤツらだな~!!」
「そうだな。どれだけ痛めつけても追いかけてくる」
「で、どうする?」
「う~ん。とりあえず、安全なところまで行こう」
と、話していると、座席の裏から、また、ミリカを襲う男が現れた。
「安全なところへ行く?そんな事はさせねぇよ。その前に、お前達は皆、ここで俺が殺してやるよ」
ゼドルが「くっ!!まだここにも敵がいたのか!!」と言う。
ドロンが「いや、でも、大丈夫だよ。1人しかいないし」と言う。
「さぁ、それはどうかな~?」
「くっ!!」
ゼドルは、「いや、相手の風格で何となく分かる。コイツはかなり強そうだ。さっきと違って1人しかいないけど、下手すると、さっきのヤツらより厄介かもしれない」と言う。
「え!?そんなに!?」
「その通り。俺は、この国でとても怖れられている存在。強盗、殺人、色んな犯罪をしてきたが、捕まった事は1度もない。国が手を焼いている指名手配犯さ」
「そうだ。コイツは、有名だ。確か、冷酷なる咎人〝ジャイル〟」
「あ~、そういえば、コイツの指名手配書、見た事ある!!」
「何で俺達がこの汽車に乗ると分かった!?」
「前からお前達がその娘をかくまいながら逃げ回ってるのを知ってたのさ。あれだけ大量の人数から自分の足で逃げ回るのは限界があるだろ。だから、汽車にでも乗ると思ったんだよ。まぁ、俺のカンだ。見事に当たっちまったけどな」
「くっ!!お前の狙いも、やっぱりミリカなのか!?」
「そうだよ」
「お前は、何のためにミリカを狙う!?」
「俺は、その娘にも、その娘の能力とやらにも興味がない。ただ、
ソイツを捕まえれば、金がもらえるって聞いたんでな」
「くっ!!噂通りの金に汚いヤツだ!!!」
「さぁ来い。かつて、あらゆる犯罪者から怖れられたお前らの実力を見せてみろ。まぁ、どうせ、俺が全員殺すけどな」
「くっ!!」
ゼドルが雷の魔法〝thunder voltサンダーボルト〟を使う。
しかし、ジャイルは、それをいとも簡単にかわす。
〝シュッ〟
「オラッ!!!」
次は、風の魔法〝tornadoトルネード〟を使った。
しかし、その風は、剣で切られてしまった。
〝シャッ〟
ドロンが炎の魔法〝burningバーニング〟を使い、
フェルが氷の魔法〝icicleアイシクル〟を使った。
しかし、どちらの魔法もかわされてしまった。
「くっ!!なんてヤツだ!!どの魔法も、全部簡単にかわしちまう!!!」
「そんなモンか?このレベルだと、魔法を使うまでもないぞ」
「あ!そういえば、コイツ、まだ魔力吸収のガムを噛んでない!!」
「オラッ!!!」
ジャイルは、ゼドルを斬りつけた。
〝ジャッ〟
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ミリカが「ゼドル!!!」と叫ぶ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ザレンとファンジェスとファティネがジャイルに斬りかかる。
しかし、ジャイルは、たった一振りでザレンとファンジェスとファティネを吹っ飛ばした。
〝カァン〟
「わあぁぁぁぁぁぁぁ」
「くっ!!コイツは強い!!!」
ミリカが「ホント強い!!こんなの、どうやって倒すの!?」と言った。
ゼドルは「大丈夫だ!!俺達を信じろ!!」と言う。
ゼドルは、「ヤバい・・・もう1時間経つ・・・そろそろ、もう1枚ガムを噛まないと・・・」と言った。
「皆、そろそろ効き目が切れる!!ガムを噛め!!」
「うん」と、仲間達が答える。
皆、ガムを噛んだ。
ゼドルと仲間達は、再びジャイルに立ち向かった。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ムダだ」
〝カァン〟
「うわっ!!!」
「ダメだ!!ビクともしない!!クソッ!!コイツは、一体何なんだ!!この強さ、まるでバケモノみたいじゃないか!!」
〝MaGistic Security Guard〟の中で1番強いリーダーのゼドルも、
珍しく苦戦している。
「諦めるな!!考えろ!!コイツだって、強いけど、どっかに弱点があるはずだ!!見極めろ!!コイツの弱点!!」
ジャイルが「フンッ!!こんなモンか!!甘い甘い!!お前らの攻撃なんぞ、全部見切ってる!!」と言う。
「くっ!!!」
「ハッ!〝見切ってる〟!?」
その時、ゼドルは、ジャイルの言った「見切ってる」という言葉が引っかかった。
「そういえば、コイツ、何かおかしい。俺達の魔法をかわす時も、剣の攻撃を振り払う時も、妙に反応が速過ぎる」
ゼドルの仲間達がめげずに立ち向かう。
「はぁ~っ!!!」
〝カァン〟
「うわっ!!!」
「くっ!!!ダメだ!!!」
「やっぱりダメだ。アイツの弱点は何だ?」
すると、ジャイルは、後ろから飛んできた蚊に刺された。
〝パン!〟
「うっ!クソッ!やりやがったな!」
刺されたが、すぐに潰した。
それを見て、ゼドルは、「変だ!」と思った。
(何でコイツ、俺達の攻撃には、全部、素早く対応出来るのに、たかが蚊なんかに気がつかないんだ?小さいからか?いや・・・まさか・・・ハッ!そういう事か!良し!じゃあ!!)