「どうぞ入って」と由紀ちゃんを先に入れて、鍵をかける。
明かりを灯してリビングへ向かう。先を歩く由紀ちゃんは少し緊張しているみたいだった。
リビングへ入るとすぐに後ろから抱き締める。
突然抱き締めたので、由紀ちゃんは身体を固くする。
キスしようとこちらを向かせるが、恥ずかしいのか下を向いたままだ。小さな声が聞こえる。
「おトイレ貸してください」
「ええー、いいけど」
すぐに由紀ちゃんはトイレに駆け込んだ。水の音が聞こえる。
いきなり抱き締めたりしたから、驚かせたかもしれない。
すまないことをした。なかなか出てこないので心配になる。
どうしようと思っていると、ようやくドアが開いて出てきた。
「ごめんなさい。せっかく優しくしてくれたのに、ごめんなさい」
「いや、僕の方こそ、突然抱き締めたりして、ごめん。お弁当を食べようか? お腹が空いた」
「私もお腹が空きました」
「お茶を入れよう」
「私がします」
由紀ちゃんがお湯を沸かしにキッチンへいった。しばらくしてお茶碗を二つ持ってきてお茶を入れてくれた。
二人で話しながらゆっくり食べるつもりだったのが、二人は無口で食べている。
二人ともこのあとのことが気になっている。由紀ちゃんに何て声をかけたらいいのか分からなくなった。
食べ終わって、ジッと見つめていると「片付けます」と言って立ち上がった。「僕が片付けるよ」と立ち上がる。
テーブルの上で手が触れるともう我慢できなくなって、由紀ちゃんを引き寄せて抱きしめた。
由紀ちゃんは抱きついてきた。しがみついて離れない。
「大好きです」
「僕も由紀ちゃんが大好きだ」
抱き抱えて寝室のベッドに運ぶ。
由紀ちゃんはぎこちなく僕の腕をつかんでいる。
ワンピースに手をかけると身体を固くするのが分かった。
「優しくしてください」
「ああ、優しくする。心配しないで」
由紀ちゃんはこうして僕のものになった。
◆ ◆ ◆
由紀ちゃんが布団の中から見上げて僕に話しかけてくる。顔が見づらい。
恥ずかしがって布団にもぐりこんで中から顔を出さない。
「もう、服を着ていいですか?」
「だめ、もう一度可愛がってあげたいから」
「今日はもうこれ以上無理です。ごめんなさい」
「分かった。でもこのまま朝までいてほしい」
「いいんですか、泊っていっても」
「もちろん、このままでは帰せない」
「じゃあ、少し眠ってもいいですか」
「いいけど、少し話をしないか? そのままでいいから」
布団の中の顔と話しを始める。
「はじめてだったんだ」
「はい」
「ごめんね、もっと優しくするんだった。由紀ちゃんを早く自分のものにしたくて力が入った。ごめんね」
「優しかったし、とても嬉しかった。でもこれ以上は無理です」
「分かっている。このままここにいてほしい」
「こちらこそ、そばに居させてください。ギュと抱き締めてくれますか?」
「いいけど」
「そして、抱き締められたままで眠らせて下さい。こうしてもらうのが夢だったんです」
「分かった。いい夢が見られるように、由紀、大好きだ」
布団の中に腕を突っ込んで抱き締める。
抱き締めるとこんな力があるのかと思うくらいに強い力で抱きついて来る。
柔らかい身体が壊れそうになるけど抱き締める。
そのまま静かに動かずにいると、いつのまにか眠ってしまった。
◆ ◆ ◆
朝、由紀ちゃんは布団にもぐりこんだまま僕の身体にしがみついている。
眠っているのか目覚めているのか分からないが、しがみついたままだ。
「このままベッドにいてくれる? 朝ごはんを作ってあげるから」
こう言ってみると、中から声がする。
「お手伝いします」
「いいよ、そのままここにいて」
「じゃあ、服を着ます。向こうを向いていて下さい」
由紀ちゃんはすぐに服を持ってバスルームに入って行った。
僕はその間に部屋着に着替えると朝食を作りにかかる。
トースト、ハムエッグ、ホットミルク、ヨーグルト、皮をむいたリンゴ。すぐに準備ができた。
由紀ちゃんはなかなか出てこない。ようやく出てきたと思ったら、すっかり身支度を整えて可愛くなっている。
「随分、時間がかかったね」
「仁さんの前では可愛いい私でいたいから」
「そんなに気を使っているとこれからたいへんだよ」
「いいんです。女の身だしなみを野坂先輩に教えられました。どんな時も醜態を見せてはいけないと」
「醜態ね、僕は醜態も可愛いと思うけどね」
「たまにはいいかもしれませんが、いつもはいけないと思います。そして初めが肝心ですから」
「そりゃあ可愛い方がいいに決まっているけど、あまり気を使わせるのも悪いと思って、自然でいてほしいだけだ」
「できるだけ自然に振舞うようにします」
「朝食の準備ができたから食べよう」
「聞いていたとおりのバランスのとれた朝食ですね。でも仁さんもちゃんと顔を洗って歯磨きもしてきてください」
「ごめん、醜態を見せちゃいけないね、先に食べていて、すぐに戻るから」
「待っていますから、でもゆっくりでいいですよ」
まるで、新婚さんの朝の会話みたいだと思って顔を洗う。でもこれが楽しくて浮き浮きする。
由紀ちゃんを自分のものにしてよかった。
そのあと朝食の後片付けをしてくれて、機嫌よく帰って行った。
明かりを灯してリビングへ向かう。先を歩く由紀ちゃんは少し緊張しているみたいだった。
リビングへ入るとすぐに後ろから抱き締める。
突然抱き締めたので、由紀ちゃんは身体を固くする。
キスしようとこちらを向かせるが、恥ずかしいのか下を向いたままだ。小さな声が聞こえる。
「おトイレ貸してください」
「ええー、いいけど」
すぐに由紀ちゃんはトイレに駆け込んだ。水の音が聞こえる。
いきなり抱き締めたりしたから、驚かせたかもしれない。
すまないことをした。なかなか出てこないので心配になる。
どうしようと思っていると、ようやくドアが開いて出てきた。
「ごめんなさい。せっかく優しくしてくれたのに、ごめんなさい」
「いや、僕の方こそ、突然抱き締めたりして、ごめん。お弁当を食べようか? お腹が空いた」
「私もお腹が空きました」
「お茶を入れよう」
「私がします」
由紀ちゃんがお湯を沸かしにキッチンへいった。しばらくしてお茶碗を二つ持ってきてお茶を入れてくれた。
二人で話しながらゆっくり食べるつもりだったのが、二人は無口で食べている。
二人ともこのあとのことが気になっている。由紀ちゃんに何て声をかけたらいいのか分からなくなった。
食べ終わって、ジッと見つめていると「片付けます」と言って立ち上がった。「僕が片付けるよ」と立ち上がる。
テーブルの上で手が触れるともう我慢できなくなって、由紀ちゃんを引き寄せて抱きしめた。
由紀ちゃんは抱きついてきた。しがみついて離れない。
「大好きです」
「僕も由紀ちゃんが大好きだ」
抱き抱えて寝室のベッドに運ぶ。
由紀ちゃんはぎこちなく僕の腕をつかんでいる。
ワンピースに手をかけると身体を固くするのが分かった。
「優しくしてください」
「ああ、優しくする。心配しないで」
由紀ちゃんはこうして僕のものになった。
◆ ◆ ◆
由紀ちゃんが布団の中から見上げて僕に話しかけてくる。顔が見づらい。
恥ずかしがって布団にもぐりこんで中から顔を出さない。
「もう、服を着ていいですか?」
「だめ、もう一度可愛がってあげたいから」
「今日はもうこれ以上無理です。ごめんなさい」
「分かった。でもこのまま朝までいてほしい」
「いいんですか、泊っていっても」
「もちろん、このままでは帰せない」
「じゃあ、少し眠ってもいいですか」
「いいけど、少し話をしないか? そのままでいいから」
布団の中の顔と話しを始める。
「はじめてだったんだ」
「はい」
「ごめんね、もっと優しくするんだった。由紀ちゃんを早く自分のものにしたくて力が入った。ごめんね」
「優しかったし、とても嬉しかった。でもこれ以上は無理です」
「分かっている。このままここにいてほしい」
「こちらこそ、そばに居させてください。ギュと抱き締めてくれますか?」
「いいけど」
「そして、抱き締められたままで眠らせて下さい。こうしてもらうのが夢だったんです」
「分かった。いい夢が見られるように、由紀、大好きだ」
布団の中に腕を突っ込んで抱き締める。
抱き締めるとこんな力があるのかと思うくらいに強い力で抱きついて来る。
柔らかい身体が壊れそうになるけど抱き締める。
そのまま静かに動かずにいると、いつのまにか眠ってしまった。
◆ ◆ ◆
朝、由紀ちゃんは布団にもぐりこんだまま僕の身体にしがみついている。
眠っているのか目覚めているのか分からないが、しがみついたままだ。
「このままベッドにいてくれる? 朝ごはんを作ってあげるから」
こう言ってみると、中から声がする。
「お手伝いします」
「いいよ、そのままここにいて」
「じゃあ、服を着ます。向こうを向いていて下さい」
由紀ちゃんはすぐに服を持ってバスルームに入って行った。
僕はその間に部屋着に着替えると朝食を作りにかかる。
トースト、ハムエッグ、ホットミルク、ヨーグルト、皮をむいたリンゴ。すぐに準備ができた。
由紀ちゃんはなかなか出てこない。ようやく出てきたと思ったら、すっかり身支度を整えて可愛くなっている。
「随分、時間がかかったね」
「仁さんの前では可愛いい私でいたいから」
「そんなに気を使っているとこれからたいへんだよ」
「いいんです。女の身だしなみを野坂先輩に教えられました。どんな時も醜態を見せてはいけないと」
「醜態ね、僕は醜態も可愛いと思うけどね」
「たまにはいいかもしれませんが、いつもはいけないと思います。そして初めが肝心ですから」
「そりゃあ可愛い方がいいに決まっているけど、あまり気を使わせるのも悪いと思って、自然でいてほしいだけだ」
「できるだけ自然に振舞うようにします」
「朝食の準備ができたから食べよう」
「聞いていたとおりのバランスのとれた朝食ですね。でも仁さんもちゃんと顔を洗って歯磨きもしてきてください」
「ごめん、醜態を見せちゃいけないね、先に食べていて、すぐに戻るから」
「待っていますから、でもゆっくりでいいですよ」
まるで、新婚さんの朝の会話みたいだと思って顔を洗う。でもこれが楽しくて浮き浮きする。
由紀ちゃんを自分のものにしてよかった。
そのあと朝食の後片付けをしてくれて、機嫌よく帰って行った。