私の心は、中学の時から成長してないかも。あの時は我慢しただけで、今回は避けただけ。向き合おうとしないは、これ以上傷付きたくないからだ。

きれいな景色に心が晴れたのは一瞬だけで、すぐにまた曇ってしまった。気持ちが下がると顔も下がる。足元を見ながら、歩き出す。

池のほとりで泳ぐカルガモはかわいいのに、素直にかわいいと思えない。カルガモはなにも考えないで、のんびりしていていいなと羨ましくなったけれど。

なにも見ても、煩わしく思ってしまう自分に嫌気がさす。

どうしたら、うまく生きれるのだろう。

どうしたら、らくに生きれるのだろう。

生きるって、難しい。



「君、どうして泣きながら歩いているの? 大丈夫?」

「えっ、私? 泣いてなんか……あ……」

「もしかして泣いていることに気付いていなかった?」

「うん……」

横から突然聞こえてきた声に足を止めて、自分の頬を手で触ると、濡れていた。泣いているつもりはなかったが、知らないうちに涙が出ていたようだ。

「大丈夫? どこか痛むところある?」

「いえ、どこも。えっと……」

心配して声をかけてくれた人物を上から下まで不躾に眺める。私と同じくらいの男子に見えるが、服装が変だ。