ホテルの大浴場に私は行こうと三人に声を掛けたが、まず菜摘が拒否した。

「私、大浴場苦手だから部屋のお風呂に入る」

「じゃあ、私も部屋のに入る」

「私も!」

菜摘に続いて、祐奈と瑠衣も同じことを言った。ひとりで大浴場に行くのは寂しいから、「私も」と口を開きかけたが、菜摘の発言に遮られた。

「未央は行ってきなよ。私たちのことは気にしなくで、のんびり入ってきて」

「うん、行ってらっしゃーい」

にこやかに手を振られたら、「うん」としか返せない。仕方なく手足を伸ばして、広々した大浴場をひとり堪能して戻ったが、部屋に入ると三人はバスタオルを抱えて、狼狽した顔を見せた。

「あー、帰ってきちゃった。やっぱり私たちも大浴場行こよとなったんだけど、遅かったね。今から行ってくるから、待ってて。ごめんね」

「え? あ、うん」

三人が大浴場へと出ていって、私はひとり残された。楽しいが寂しいに変わった。三人が前のように私を受け入れてくれるようになったかと感じたが、勘違いしていたようだ。

やっぱり私は避けられている。

私は早々とベッドに入って、寝たふりをした。戻ってきた三人は私が寝てると思って、小声で話をしていた。途中まではひそかに耳を傾けていたが、いつの間にか眠りについていた。