私が三人で出掛けてきてと言うと、お互い顔を見合わせて安堵した表情を浮かべた。具合がよくなったら連絡してと言う。

私は頷いて、顔をしかめた。腹痛の演技はしやすい。演技を信じたか信じてないかはどうでもいい。

私が行けなくても三人で楽しんでいるかどうかのほうが気になる。気になるなら、演技なんてしないで一緒に行けばいいのだろうけど、昨日の様子でいない方が三人のためになると判断した。

三人とも私への話し方がぎこちなく、気を遣っている感じがした。

昨日の東京駅から軽井沢駅までの北陸新幹線の中でも妙な気遣いをしていたから、私は途中から寝不足を理由に寝たふりをした。

寝たふりといっても、軽井沢までは一時間ちょっとで意外に速く着いたので、短い時間だった。

昨日は瑠衣の部活が終わってからの出発となり、軽井沢駅に到着したのが十五時だった。
だから、ホテルに向かう途中にあったカフェに行っただけであとはホテルで過ごした。

昨日は夜になるまで疎外感を抱かなかった。新幹線でもカフェでも普通に楽しく話が出来た。言葉を間違わないようにと気をつけてはいたが。

ホテルでは夕食までカードゲームをしてたのしんだ。買っても負けても誰も恨むことのなく、楽しんだ。

しかし、その楽しい空気が夕食後に変わった。