でも、話したくないことを聞いてしまったかもしれない。

「話してくれてありがとう。過去から来たというのが嘘だったのはショックだったけど、また会えたから嬉しい。あの日、会えなくて本当に悲しかった」

「うん、涙を流す未央ちゃんを見て、出ていきたいと思ったけど、行けなかった。東京で暮らすと決まっていたら、絶対に行ったんだけど、もし福岡になった簡単に会える距離ではない。だから、二度と会えない場所にいると思って欲しいと勝手に思ったんだ」

二度と会えない場所に行ってしまったと思って、確かに私は諦めた。でも、あれから毎日亮平さんの顔と声を思い出していた。いつか忘れてしまわないように、ずっと覚えているために、毎日思い出した。

「なんであの日、タイミングよく雷が鳴って、雨が降ったんだろうね。あの雷雨で絶対過去に戻ったんだと信じちゃった」

「あー、あれはすごい偶然だよね。嘘をついた俺にもう会う資格はないと神様が言っているのかと思った。約束を言ったのは俺なのに、約束を破らなければならないのは辛かった」

「うん、そうだよね」

自分だけが辛いと思っていたけど、亮平さんも辛かった。