帰りのホームルームが始まりを告げるチャイムが鳴った。亮平さんは玄関の方を見る。

「やばい、転校初日から遅れたら、目をつけられるかも。未央ちゃん、終わったらここで待っていて。一緒に帰ろう」

「ここで? 一緒に?」

「うん、今度は絶対約束を守るから」

「うん……」

亮平さんは私が頷くのを確認してから、玄関へと走っていった。私もあとに続いて自分の教室に戻る。

ホームルームが終わって、担任教師が出ていくと祐奈たちは私を囲んだ。

「やっぱり亮平さんだった?」

「うん」

「すごい! 運命の再会だね」

「え、運命?」

瑠衣の言葉は大げさに聞こえたが、ここで会えたのは運命なのだろうか。

私が亮平さんと一緒に帰る約束をしたと言うと、三人は早く行くようにと背中を押した。あの日の三人も『行ってらっしゃい』と背中を押してくれた。

でも、彼は現れなかった。
さっき見た姿は幻でまた現れなかったら、どうしよう?
おそるおそる玄関を出て、会った場所へゆっくりと歩く。

心はあの人同じように弾んでいるが、不安になる気持ちもあった。