連絡先だけでなく、亮平さんの住んでいるところも知らない。お世話になっているというおばあちゃんの名前でも聞いておけば、誰かに尋ねることが出来たかもしれないが、聞いていない。

祐奈と昨日行ったパン屋とアイス屋に行って、今日亮平さんが来たか聞くが、どちらの店にも来ていないという答えだった。彼はどこに行ってしまったのだろう。

「せっかくあのひどい雨と雷がやんで、会えると思ったのにね。未央がこんなにも待っているのに」

「雨……雷……」

「え、なに?」

亮平さんがどこにいるか全く分からないから、ホテルに戻ろうと私たちは歩いた。新幹線の時間まであと1時間しかない。私は今朝の雷雨を思い出した。雷雨……あ!

亮平さんが過去で雷雨があった日に、こっちの時代に来たと言っていた。もしかして、あの雷雨で過去に戻った?

同じような雷雨があったら戻れるかもと話していた。戻れるなら戻ったほうが亮平さんのためになる。でも、なんで今日の朝なの? なんで約束の時間より前だったの?

もう二度と会えない。
どんなに願っても、過去の人に会うことは叶わない。
もう一度だけでいいから、会いたい……。
会わせて。