旅行三日目の朝、雷の鳴り響く音で目が覚めた。雷だけでなく雨もが激しく降っていて、部屋の窓を叩きつけていた。私は窓に張り付いて、雷で光る空を見あげた。

「未央、こんな雨と雷がすごい中で出ていくの危ないよ。亮平さんに連絡して時間をずらしたら?」

「うん……でも、約束の時間までまだあるから、ギリギリまで待つよ。九時前にはやむかもしれないし」

菜摘が心配してくれるが、亮平さんと連絡を取る手段がない。お世話になっているおばあちゃんの家の電話番号を聞いたが、覚えてないと言われた。

私の番号を渡しておけば、亮平さんから連絡がきたかもしれない。今後悔しても仕方がないけれど。約束の時間まであと二時間あるから、やむことを祈った。

祈りが空に届いたのか、雷雨はおさまり、雲の切れ間から太陽の光が地上へと差し込んでいる。よかった、会える。

祐奈たちに「行ってくるね」と伝えて、ホテルを出た。昨日ひとりでホテルの出たのとは足取りが違う。今日の足取りは軽くて、心は弾んでいた。浮かれた私は九時になる10分前に到着した。

待ち合わせ場所は案内看板の前。そこでワクワクしながら待った。だけど、時間になっても亮平さんは姿を見せなかった。