漂っていた不穏な空気を取り除くような声が突然上がった。その声を発したのは祐奈で、瑠衣も「かわいい!」と雲場池のほとりで身を寄り添って浮いているカルガモ親子をよく見ようと近付いていた。
「もう今はそんな話をしていたんじゃないのに……」
「菜摘もおいでよ」
「あ、本当にかわいい」
不機嫌だった菜摘もカルガモ親子を見て、頬を緩ませた。三人は写真を撮りながらはしゃいでいる。その様子に私と亮平さんは顔を見合わせて、笑った。
「お友だちと一緒に帰ったほうがいいよ」
「でも……」
私から視線を逸らして、亮平さんもカルガモのそばへと行こうとする。彼に背中を向けられた時、無性に寂しさを感じて、その背中に思わず抱きついた。
突然のことに驚いたようで亮平さんは動きを止めて、振り向こうとしたが後ろから抱きしめられていて、身動き出来ない状態だ。
「未央ちゃん?」
彼が動揺した声で私を呼ぶ。
「まだ亮平さんと話をしていたい。明日帰るからもう会えなくなる。嫌だよ……」
祐奈たちは私たちの様子に気付かず、まだ写真撮るのに夢中になっていた。
「未央ちゃん、顔見せて」
私はゆっくりと手を放して、亮平さんと向き合った。彼の頬はほんのり赤くなっているように見えた。私も自分がしてしまった大胆な行動が恥ずかしくて今さらながら、赤くなる。
「もう今はそんな話をしていたんじゃないのに……」
「菜摘もおいでよ」
「あ、本当にかわいい」
不機嫌だった菜摘もカルガモ親子を見て、頬を緩ませた。三人は写真を撮りながらはしゃいでいる。その様子に私と亮平さんは顔を見合わせて、笑った。
「お友だちと一緒に帰ったほうがいいよ」
「でも……」
私から視線を逸らして、亮平さんもカルガモのそばへと行こうとする。彼に背中を向けられた時、無性に寂しさを感じて、その背中に思わず抱きついた。
突然のことに驚いたようで亮平さんは動きを止めて、振り向こうとしたが後ろから抱きしめられていて、身動き出来ない状態だ。
「未央ちゃん?」
彼が動揺した声で私を呼ぶ。
「まだ亮平さんと話をしていたい。明日帰るからもう会えなくなる。嫌だよ……」
祐奈たちは私たちの様子に気付かず、まだ写真撮るのに夢中になっていた。
「未央ちゃん、顔見せて」
私はゆっくりと手を放して、亮平さんと向き合った。彼の頬はほんのり赤くなっているように見えた。私も自分がしてしまった大胆な行動が恥ずかしくて今さらながら、赤くなる。