だけど、こんなに心配してくれていたなんて、本当に申し訳ない。

「ところで、その人誰なの?」

「えっと、棚橋亮平さんです」

「はじめまして、棚橋と申します」

「はあ、どうも。未央、どういう関係なの?」

菜摘が不審な目で亮平さんを上から下まで見た。着物を着ている亮平さんが怪しい人に見えるんだろう。

私も最初怪しく見えたから、菜摘が考えることが分かる。

「僕の暇つぶしに、未央ちゃんは付き合ってくれました。未央ちゃん、ありがとう」

「いえ、こちらこそ」

「なんなの? 暇つぶしって、つまりナンパ? ちょっと未央、気を付けたほうがよくない? 早く私たちとホテルに戻ろう」

「あ、うん。でも、待って……」

亮平さんから引き離そうと菜摘が私の腕を引っ張った。まだ亮平さんと一緒にいたいけど、どうしよう。私は菜摘と亮平さんを交互に見た。菜摘は怒っているみたいで怖い顔をしていて、亮平さんは困ったように弱々しく笑っていた。

亮平さんのおかげで楽しい時間を過ごすことができたし、私は彼に惹かれていた。だから、まだここにいたい。

「あー、見てー! カルガモの親子いる! かわいい!」