雲場池に戻るように歩いていく。歩きながら、亮平さんなりの考えを話してくれた。亮平さんがこちらの時代にやって来た日は同じように夏で、雷雨の時だった。

雷が近付いてきていたから、激しい雨に濡れながらも雨宿りできる場所を探して走っていたそうだ。

ある家の小屋の扉が少し空いていたので、そこに滑り込むようにして入った時、すぐ近くに雷の落ちた音がしたという。

どのくらいの時間が経過したのか正確には分からないが、雷雨がおさまったので外に出た。

水溜まりを避けながら家に向かって歩いたが、土だった道がアスファルトになっていた。それと周りの景色が違っていたらしい。

不思議に思いながらたどり着いた場所には、住んでいた家がなかった。家には両親と兄弟がいるはずなのに、周囲を探しても誰の姿はない。

どうなっているのかと分からず、途方に暮れていたら、おばあちゃんが声を掛けてきた。そこで、自分だけが未来へ移動してしまったことに気付いた。

「雷雨? もしかして、同じような雷雨があったときに、戻れると?」

「そう。近くで雷が落ちたのが原因だと思う」

亮平さんの話を聞いて、私も雷が原因のように思えた。夏は突然の雷雨に見舞われることが少なくない。