溶けてきていたカップのふちに近い部分から急いで食べる。冷たくて美味しいアイスを溶かしてしまってはもったいない。

亮平さんは慌てて食べる私を見て、笑った。

「未央ちゃんと一緒にいると飽きないし、楽しい。今日会ったばかりなのに、不思議だね」

確かに不思議だ。人見知りな性格の私が会ったばかりの人となにかを食べて、話をするなんてあり得ないことなのに。

警戒心が強く慎重に行動するタイプだけど、なぜか過去からやって来たという変わった人を警戒するどころか信用してしまっている。

本当に普段の私からしたらあり得ない。彼と過ごす時間は居心地がよく。亮平さんの存在は、私の気持ちを楽にしてくれていた。

ずっと亮平さんと一緒にいられたらいいのに。無理なことを願ってしまう。彼はいつか元の時代に戻る人だ。

でも、いつだろう?

どうやって戻るのかな?

アイスを食べ終えてから、亮平さんに少し体を寄せた。あまり人に聞かれてはいけないことだろうから、小さい声で訊ねる。

「亮平さんのいた時代に戻る方法って、あるの?」

「んー、どうかな?」

「どうかなって、そんな呑気にしていて大丈夫なの? このまま戻れなかったら、どうするの?」

「戻れなかったら? んー、おばあちゃんと一緒に暮らすかな」