何も考えずに亮平さんのをもらっていたが、自分のを彼に向けるとなんとなく恥ずかしい気分になった。

お互いのアイスを分けあって食べるなんて、まるで……。

「こんにちは! あら、今日はデート? 仲良しでいいわねー」

長い髪の毛をひとつに結んだ年配の女性が私たちの前を通りかかった。亮平さんを知っているようで、私を見て微笑ましそうな顔で話す。

デートみたいと今まさに思ったことを言われてしまい、私の顔は赤くなった。一方亮平さんは涼しい顔で返事をする。

「はい、仲良しなんです」

「まあ、若いっていいわねー。羨ましくなっちゃう」

女性はにっこりと笑って、隣にある雑貨店に入っていった。彼女は雑貨店の店長で、いつもアイスを食べていると挨拶してくれるらしい。

亮平さんがお世話になっているおばあちゃんのこともよく知っていて、おばあちゃんにあげてと自分の家の畑で収穫した野菜を一昨日もらったそうだ。

亮平さんの優しい人柄と穏やかそうな雰囲気は、人に好かれるのだろう。羨ましい。私も人に好かれる人間になりたい。

「未央ちゃん? 食べないの? 溶けてきているよ」

「えっ? ああ、いけない! 食べる、食べる」