でも、私はどちらかというとかき氷よりもアイスのほうが好きだった。だから、提案にすぐのった。

パン屋を出て、また手を繋いで歩く。雲場池からパン屋までは木がある道を通ったから、ほどよく日陰があった。

日陰のおかげで暑さが和らいでいたが、今度は日陰がほとんどなく、日射しがジリジリと肌に刺さっていく。

顔だけではなく、繋ぐ手にも汗が滲むの感じた。

徒歩10分くらいの距離だから、それほど遠くはないが、暑さのせいでかなり歩いたような気がしてしまう。

早く冷たいアイスが食べたい。冷たいものを食べて、体を冷やしたい。

亮平さんが「あそこ」と指差したのは、庭にカラフルなパラソルが並ぶお店で、『ジェラート・カルル』と入り口に看板があった。

「ジェラートショップなんだ」

「ジェラート? あー、ジェラートと書いてはあるけど、アイスだよ」

イタリア語でアイスをジェラートといったかなと私は違いを考えたが、大正時代にはジェラートとは言わなかったかもしれないし、亮平さんがアイスと言うなら、アイスだと思うことにした。

十人くらいが並んでいたが、私たちも最後尾に並ぶ。

「ここにもよく来るの?」

「うん、ここには一日置きかな」

「一日置き? そんなにも?」

「うん。種類がいっぱいあるから、どれも美味しそうでね」