「私の存在が人を不快にさせるのかな」

「違うと思うよ。お友だちとの関係を実際に見てはいないから、想像でしかないけど、未央ちゃんが存在出来る場所は間違いなくある。僕はお友だちとの場所がそこだと思う」

「勝手で、甘い想像だよね。亮平さんには分からないと思うけど、私は空気で分かるの。嫌われているって」

「本当に嫌いだったら、旅することをやめると思うけどね」

亮平さんの考えに私は言葉を詰まらせた。確かに私と行きたくない、私といたくないのなら旅行自体をなしにしたらいいはずだ。

旅行をやめなかった理由があるのかな……あ、そうか、そうかも。

私は思い付いた答えを亮平さんに伝えた。

「ええっ? 未央ちゃんに嫌がらせするために旅行? そんなことしたら、お友だちも楽しくないよね。なんで未央ちゃんは、悪いことばかり考えてしまうのかな?」

「悪いこと? だって、いいことなんて何もないから」

「よし、今からいいことをしよう。行くよ」

「ちょっ、ちょっとー! どこに行くのよ」

亮平さんはいきなり私の手を握って、歩いてきた道を戻る。まだ散歩コースを半分も歩いていないのに。

どこに向かっているか分からない私は困惑して、隣の亮平さんを見た。