それによく見ると瞳がきれいなだけでなく、目鼻立ちがくっきりとしている整った顔で、かっこいい。

もくもくと彼に興味がわいてきた。

「名前聞いてもいいですか?」

「はい。棚橋亮平(たなはしりょうへい)と言います」

「ありがとうございます。あ、私は麻生未央と言います」

「未央ちゃん」

思いがけず、下の名前で呼ばれて私は「はい!」と元気よく返事をしてしまった。彼は、微笑んでから「僕のことは、亮平と呼んで」と言った。


「理解できていないみたいだから、ハッキリ言います。なぜだかは分からないけれど、僕は大正時代からこの時代に飛んきました」

「飛んできた?」

私は空を指差す。鳥のように飛んできたというのかな? それとも飛行機で飛んできたとでも?

ますます理解不可能になる。

「未央ちゃんが想像している飛ぶとは違う。つまり、時空を越えてきました」

「時空? それって、過去からやって来たと?」

「うん。大正時代という今よりも過去から時代から半月前に来ました」

「過去の人なの? 今は実在しない人なの?」

彼は目を丸くしながら、問いかける私に頷いた。

私は混乱しながらも必死で亮平さんの話を整理した。棚橋亮平さんは二週間前に大正時代からタイムワープしてきたらしい。