ドアが閉まった瞬間、鬱陶しく感じる蝉の声よりも笑い声が鮮明に聞こえた。口を手で覆って笑っているのだろうけど、しっかりと私の耳に届いた。

1か月前から何度か耳にしたことのある声で、その声は何度も私を不安にさせている。ひとり取り残される不安感。

中学三年生の時、私は仲の良い五人グループにいたが、ある日から無視されるようになり、ひとりになった。その時と同じ疎外感をまた味わうことになるとは……。

『いじめられる子にも問題があったりするんですよ。なにか心当たりはありませんか?』

私が中学校で孤立していることを知った母は、担任に話した。担任はすぐ面談をしてくれたが、いじめている人物を探るよりいじめられる側の原因を探ろうとした。

母は『いじめる子よりもいじめられる子が悪いと言うんですか!』と怒った。母が怒ってくれたから、私の心は少し軽くなった。ちゃんと自分のことを考えてくれる人がいると心の支えになった。

結局担任とは意見が合わず、面談ではなにも解決の糸口を見つけだせなかったが、あと少しで卒業出来るから我慢すると決めた。高校は同じ中学の子がいないところを希望して、離れた高校に進学した。

そこで人生再出発だと意気込んだのに、空回りしてしまった。