私は灰色のアスファルトの上を紅羽と共に歩いていた。
終礼が終わり、今は幸せに包まれた下校の時間。見るもの全てが美しいものに感じる。
学校から解放され気が楽になる私。紅羽も多分同じ気持ちだろう。
紅羽が私の目の前まで来て、両手を広げて止まった。
「いやー、学校が終わると気分爽快な気持ちになるね、佐奈!」
こぼれるような笑みを見せる紅羽。
「うん、そうだね。……だけどどうして私の目の前で止まるの? それじゃあ先に進めないよ」
立ち止まるしかない私は困った表情を見せた。
「ごめんごめん、……だけど佐奈さ、さっきから話しかけているけど、どこか上の空な感じで話が頭に入っているかどうか心配だったからさ」
そう言って紅羽は、私の隣に戻ってきて歩きだし始めた。私も渋々歩き出す。
「心配してくれたんだね。……確かに今はちょっと疲れていて話がスッと頭に入ってきていなかったかも、でも心配するほどじゃないよ」
そう言って私は胸の前で手を振る、心配しないでというジェスチャーだ。
「そう? ならいいんだけど……」
心配そうにしていた紅羽は、私の言葉に一応納得してくれた。
歩いていると分かれ道に辿り着いた。
この分かれ道で私と紅羽はいつも別々の方向へ別れている。そうしないと家に帰れないため仕方がない。
「じゃーねー、佐奈、また明日!」
「また明日も学校あるのかー、嫌だな……」
「当たり前でしょ! 明日は平日なんだから。また明日も頑張ろうね!」
「う、うん! じゃあね紅羽、また明日」
「おう!」
去り際に少し話をして、私達は別々の方向へ向かった。
自分で学校という言葉を口に出してしまい、心がなんだか憂鬱になってしまう。
楽しいことは殆どないし、苦しいから、学校に行きたくないなあ。
……なんて思ったところで、明日の学校を回避することは出来ないので思うだけ無駄なのに、私は台風でも起こって学校が休みになればいいなんて、そんな幼稚なことを思ってしまう。
高校生なのに、学校嫌いは小さな子供のころから全然成長してない私。
駄目だ、もっと大人にならないと。