小学生の時にいじめられていた記憶がフラッシュバックした後、私はとてつもなく大きな絶望感に襲われていた。
私は紅羽のおかげで、どうして自分が異常に学校を嫌っていたのかが分かった。
学校が好きな人は少ないと思うが、私はその当たり前の感情とは少し違って学校が嫌いだった。
――私が乗り越えていかなければならない過去だ。
だけど乗り越えられる気がしなかった。
いじめられていた事実を私は乗り越えられない。
過去をしっかり受け止められずに、私は辛いまま過ごしていくと思う。
一階からご飯が出来たと知らせる母の声が聞こえた。
私はなにも答えずじっとベッドの上にうずくまっていた。
まるで体が石になったような気分だ。
頭の中ではいじめられていたときの映像や心情がぐるぐると渦巻いていた。
インターホンの音がして、玄関の扉が開く音が聞こえる。――私は訪ねてきた人物になんとなく察しがついていた。
誰かが階段を上る音が聞こえる。
紅羽の声が部屋の扉越しに聞こえた。なにかを言っている。
私はその声に答えず部屋の鍵をかけ、耳を塞いでベッドに横になった。
なにも聞きたくない。なにも。
もうほっといてくれ! 心の中でそう悲鳴を上げて、私は目を閉じた。
そして眠りについた。
月曜日。私は学校を休んだ。