「……うん、それでも聞きたい。紅羽教えてくれる?」

私は紅羽から目を逸らさず、真っ直ぐ目を見て言った。

なぜ、私が聞くという選択をとったのか、……それは紅羽のこれまでの様子から決定したことだ。

紅羽は最近ちょっと様子が変だった。

私の学校嫌いを気にしたり、疲れ気味だと心配してくれたり、最近私の元気がないからといってゲームセンターに連れて行ってくれたりと、なんだか私に対してとても気を遣ってくれた。

そんな紅羽の様子を見ていると、私はもしかしたら自分が思っている以上に、どこか変なのかもしれないと思った。

もしかすると紅羽は、そんな変な私を救おうとしてくれているのかもしれないと思ったんだ。

紅羽は私にその卒業アルバムから見つけた『衝撃な事実』を、本音では話したいと思っている。……私はそんな気がした。

紅羽が全力で私になにかを伝えようとしている。

――なら、私も逃げないで、ちゃんと聞かなきゃだめだ。

私はそんな風に思い、衝撃な事実を聞く決意を決めた。

「……よかった、その言葉を聞きたかったんだ」

紅羽はホッと息をなで下ろす。

「……それで、話ってなに?」

「説明のさいに、小学生の時の卒業アルバムを見てもらった方が伝わりやすいと思うからそうしたいけど、佐奈はそれでいい? 大丈夫?」

「多分平気、……また具合が悪くなったら少し横になるかもしれないけどいいよね?」

「うん、もちろんだよ」

紅羽は学習机の上に置いてあった卒業アルバムを持ってきて、床に置いて広げる。

私は一瞬、くらっとめまいがした。床にゆっくり座り込む。

……本当に、卒業アルバムと私の具合は関係しているみたいだ。どうして?

「佐奈、大丈夫?」

紅羽が不安そうな表情で聞いてくる。

「う、うん……、大丈夫」私は無理に口角を上げて答えた。

「……具合が悪くて耐えられそうになかったら、直ぐにいってね」

私は紅羽の言葉に無言で頷いた。

紅羽は私の頷きを確認した後、床に座り込んだ。

「……佐奈、これを見て欲しいんだけど」

紅羽が沢山並んでいる顔写真の中の一つを指差した。

それは私の写真だった。顔写真の下には私の名前が書いてある。

写真の私はぎこちなく笑っていた。写真を見ているとなんだか心がギュっと掴まれるような感覚になる。

「私が小学校を卒業する時に撮った顔写真みたいだね」

私は昔の自分の写真を見て、少し複雑な気持ちになりながら言う。

「うん、……佐奈、この写真を見てなにか思い出さない?」

「この写真を見て?」

「そう」

私は写真に写った昔の私を、目を凝らしてよく見た。

――だけど。