「いちおう、傘を持って行くか？」

僕は、どんよりと曇った空を見上げてそう思った。

玄関前に置いてある傘立てから自分に白い傘を手に取って、僕は近くの銀行に向かった。

銀行は神社とは逆方向の道だが、家から徒歩三分ぐらいの近い距離にある。

三分後、僕は銀行に到着した。小さな店舗の中には誰もおらず、空いてる機械の前で僕は通帳とカードを入れた。暗かったモニターが明るくなったのと同時に、取引ボタンが液晶画面に表示された。僕はその中から引き出しボタンを押して、暗証番号を入力した。

「十万ぐらい、下ろしておくか」

そう言って僕は、自分の銀行口座から十万円を引き出した。

開いたお金取り出し口から十万円を取り出してサイフに入れて、通帳とカードを手に取った。通帳の最後のページに視線を落とすと、残高〝九十万〟と、もちろん少なくなっていた。

「一万円神社に納めたたら、神様も僕の願いかなえてくれるかな？」

欲望にも近い自分の願望を口にして、僕は銀行の外に出て神社に向かった。