「でも、まだ神様が広瀬の願いをかなえてくれるかもしれないじゃないか?」

「かなえてくれなかったら、私たちは別れることになるんだよ」

つぼみは、まるで他人事のように言った。

「そりゃそうだけど………」

「だから私、信じたの。神宮が私に言った、〝広瀬の願いは、神様にきっと届いてる〟っていう言葉を」

つぼみは、僕の胸に指さして軽い口調で言った。

「ま、まってよ。もし神様が願いをかなえてくれなかったら、僕のせいみたいじゃないか?」

僕は、興奮した様子で早口で彼女に言った。

「私の願い、神様がかなえてくれるんでしょ」

「そりゃそう言ったけど………」

あのときはたしかにそう言ったが、つぼみが転校するなんて知らなかったからだ。しかも僕は、てきとうに晴れか雨だけの理由で神の存在を決めた。