ーーーーーー『神様って、いくら納めたら人間の願いをかなえてくれるのだろう?』

そのとき、彼女が神社で口にしていた言葉が僕の頭によぎった。

「まさか……」

今朝からなぜ、そこまで彼女が神社に祈っていたか僕はこのときなんとなくわかった。

ーーーーーー『気持ちじゃ、ダメなの?』

つぼみのとてもさみしそうな顔が、僕の頭によみがえった。

ーーーーーー『五千円じゃ、ダメなのかな?』

次々に、彼女の言っていた言葉が僕の頭によみがえる。

幼稚園のときからずっと一緒だった彼女と明日から会えなくなると思うと、僕の胸に波のような悲しみが押し寄せた。

「広瀬さんは今日が最後の授業となりますが、みなさん楽しい一日になるようにしましょう」

小雪先生が明るい口調で言って、つぼみは自分の席に戻った。

「ねぇ、神宮君。私の願い、神様に届いてるよね」

席に座りながら、つぼみは僕に訊いた。

「えっ!」

「神様がいるとしたら、私の願い届いているんだよね」

僕に視線を向けて、つぼみは少し強めに言った。

「ああ、届いてるんじゃないかな?」

僕は、かすれた声でそう答えた。

空を見て天気で神の存在をてきとうに決めたことに、僕は重い責任を感じた。