「気持ちじゃ、ダメなのかな?」

つぼみは、とてもさみしそうな顔で僕に訊いた。

教室に入るときつぼみの明るい声を耳にして少し安心していたが、また彼女のさびしそうな顔を見た僕は不安になった。

「大きな願いをかなえてもらおうと思ったら、五千円じゃダメなのかな?」

つぼみは困ったような顔をして、小さな声で僕に訊いた。

「いや、それはわからない。ごめん、広瀬」

ばつの悪そうな顔をして、僕はつぼみに謝った。

「わからないだけは、やめて。ダメなのか、いいのかどっちか言って」

彼女は潤んだ瞳で、僕を見た。

「えっ!」

僕は困ったような顔をして、ちらっと窓の外に視線を向けた。

窓の外には雲ひとつなく青空が広がっており、よく晴れた清々しい天気だった。もし神様が存在するのならば雨の日じゃなく、晴れの日に僕たち人間を見てるだろう。