「テレビなんか見てないで、学校に行く準備しなさい」

「わかってるよ」

母親にそう言われて、僕はパジャマから制服に着替えた。なんだか制服を着るのがとても久しぶりに感じる。

「行ってきます」

玄関に並べられたくつを履いて、僕は玄関先に置かれていた自転車に乗って家を出た。

外に出ると十日間続いた夏のように暑かった日から一転、すずしい風が僕の黒い髪の毛をなびかせた。その風が、秋を感じさせた。

「行ってらっしゃい」

後ろから僕を見送る、母親の声がかすかに聞こえた。

学校までの舗装された道を、僕は自転車のペダルを強くふんで進む。少し自転車で先に進んだところで、僕は左に曲がった。左に曲がると、僕の視界に坂道が見えた。この坂道をのぼると、学校と神社が見える。