「なにそれ、二ヶ月前と一緒の願いじゃん。ほんと、野菜きらいなんだね」

僕の願いを聞いて、つぼみは苦笑いをした。

「じゃ、つぼみはなにを願うの?」

「私は、願と一緒に死にたい。そしたら、転校なんかしなくてもいいでしょ。そしたら、大好きな願とずっと一緒にいられるから」

「えっ!」

冗談とも思えないつぼみのリアルな願いに、僕は一瞬フリーズした。

「え、死ぬ………」

僕の開いた口から出た声は、かすれていた。

ーーーーーーたしかにここで一緒に死んだら、つぼみとずっと一緒にいられるかもしれない。けれど僕は、この感情のある生きた世界でつぼみと一緒にいたい。

そう思って右に視線を移すと、青くて広大な海が僕たち二人を飲み込むように波がおそっているように思えて怖く感じた。

「つぼみのいやなことって、もしかして……転校?」

「わかったんだ」

僕の問いかけに、つぼみは苦笑いを浮かべた。

「だから、海に来たの。転校したくないから。願と別れたくないから。だってこんなに願のことが好きなのに、転校で別れるなんて嫌だから」

そう言ってつぼみが白い砂浜を蹴って、僕の方に向かって走ってきた。走っている途中、かぶっていた白色のつば広ぼうしがつぼみの頭から落ちた。