「それだけのために、十万円も使うの?秋じゃ、ダメなの?」

「秋は、きらいな季節なんだ」

「どうして?」

女神様は、不思議そうな顔で僕を見つめた。

「なんかさびしくなるっていう理由もあるけど、外に出かけることもあまりなくなるだろ」

秋風が吹いたせいか、僕は自然とポケトに手を入れた。

「十日間しかいられない彼女と、外でいっぱいデートしたいんだね」

「そういうこと」

そう言って僕は、笑みを浮かべた。

季節を夏にしてくれたら、つぼみと一緒に色々な場所に出かけられる。残り十日間しか彼女と一緒にいられないが、僕はこの十日間で、つぼみに自分の想いを伝えることを決めていた。

「……お別れだね」

「えっ!」

「私とは、一足先に彼女とお別れだね」

そう言った女神様の瞳が、かすかに潤んでいた。

「だいじょうぶだよ。さっき言った君の願いは、ちゃんとかなえてあげるから」

女神様の言った言葉が理解できず、僕はその場で固まった。

ーーーーーーなにを言ってるんだ。お別れ?どういうことだよ……?

とつぜん告げられた女神様の言葉を聞いて、僕は焦った顔になった。