「おはよう、願」

「お、おはよう………」

僕に視線を移して、軽くあいさつをした父親に新鮮な感じがした。

僕の願いを女神様がかなえてくれたのだろう、リビングには父親がいた。四年ぶりぐらいだろうか、久しぶりに見る父親の顔はなんだかしわが多くなったように思えた。でも、父親の顔を見るのはなつかしく、泣きそうになった。

「お父さん、離婚するんじゃ………」

知ってるのに、僕はそう訊いた。

ほんとうは、離婚する運命だ。でも、七日間だけ一緒にいられる。それが、昨日僕のかなえた願いだから。

「七日間だけ、こっちに戻って来たんだ」

「へぇ、そうなんだ」

小さな声で返事をしたが、僕は内心飛び跳ねようにうれしかった。

なかなか会えなかった父親と、〝七日間〟一緒に生活ができることがうれしい。そしてスーツを着てない、ラフの服装をした父親の姿がなんだか見慣れなかった。

ーーーーーーほんとうに、お父さんと一周間だけ一緒にいられるんだぁ。

小学生以来、父親の姿なんて見たことがなかったし、ほんとうに僕の願いをかなえてくれたんだなぁと思った。