ルナって私に言ったのかな? と言うか誰だっけ? この人。
「えっと…」
私が困惑顔で口ごもっていると、男子生徒は悲しげな顔になりそれに劣らず悲しげな声で話しかけてきた。
「僕だよ。は・る・と! 佐藤陽翔」
「佐藤君?」
「もしかして覚えてないの? 本名なのに…」
普通、学校には本名で通うものだと思うけど。不思議な事を言う彼を私はジッと見つめた。
どこかで見た事あるような。ないような……。
更に眼鏡の奥の瞳をジッと見つめる。パッチリと見開かれて黒い瞳がはっきりと見える。――今朝夢で見た男の子の顔が思い浮かぶ。
「あ! ハル君! え、うそ!」
思い出し声を上げる私に嬉しそうにコクリと頷く。
「よかった。思い出したんだね! まさかこの学校で会うなんて!」
「私もビックリだよ」
「あのさ、もう部活決めた?」
「え? いや、まだだけど……」
「じゃさ、ちょっと見て行こうよ」
「いいよ。掲示板見て帰ろうと思っていたところなんだ」
ハル君の申し出に、掲示板を見て帰るつもりだった私は二つ返事で返す。
いやぁ、こういう偶然もあるんだ。って、よく私だってわかったなぁ。
「じゃ、行こう」
ハル君は、何故か手を差し出した。
「………」
いやいや、手は繋がないから……。
「あ、ごめん。もう、小学生じゃないもんね」
照れながら、手を引っ込める。
うん。小学生じゃないからね。しかも低学年の時の話でしょう。
私達は階段の前にある掲示板に向かった。
掲示板には部活名が書いてあり、案内図のようになっていた。
部活名しか書いてないんだけど……。えっと、合唱部に読書部って地味のしかないの?
運動部に至っては、卓球部しか名前がない。随分偏った部活動ね。その中に不思議な部活名を見つけた。
「……ファンタジー部?」
「あ、やっぱり興味ある?」
「え? いや、珍しい名前の部だなと思って……」
「そうかな? ところでよかったらさ、一緒に同じ部に入らない?」
ハル君は、そう聞いてきた。
誰かと一緒に入らないといけないし、知っている人との方がいいかと頷いた。
「うん。いいよ」
「よかった。じゃさ……」
「ハル! もう来ていたのか。って女?」
ハル君の言葉を遮るように声を掛けられ、私達が後ろを振り向くと、そこには二年生の先輩が二人立っていた。学年はネクタイの色でわかる。一年は赤、二年は青、三年は緑とそれぞれ白とストライプ模様となっている。
女の先輩はお嬢様な感じのできりっとしていて、胸まであるストレートの髪がよく似合っている。
男の先輩の方は、これがまたブレザーが全く似合わない髪型をしていた。いや違うか……髪がないから髪型とは言わないよね。つるっつるだよ。
どういう組み合わせなの? お嬢様と坊主って……。
「あ、カナ……」
ハル君の知り合いっぽい。まあ、ハルって声を掛けていたものね。
「まあ、いっか。行こうぜ。こっち」
ぼけっとしていると、カナと呼ばれた男の先輩の誘導で部室の方へ移動する。来た方向に戻り、右手に曲がれば教室の方向の所で立ち止まる。
左側にはドアがあり、女の先輩がカギを開けドアを開く。
「どうぞ。おはいりになって」
その言葉に、私達は部室に入っていく。って、もしかしてこの部に入るわけじゃないよね?
私は不安になった。だって入る時にちらっと見ちゃったの。ファンタジー部と書いてあるのを……。
「えっと…」
私が困惑顔で口ごもっていると、男子生徒は悲しげな顔になりそれに劣らず悲しげな声で話しかけてきた。
「僕だよ。は・る・と! 佐藤陽翔」
「佐藤君?」
「もしかして覚えてないの? 本名なのに…」
普通、学校には本名で通うものだと思うけど。不思議な事を言う彼を私はジッと見つめた。
どこかで見た事あるような。ないような……。
更に眼鏡の奥の瞳をジッと見つめる。パッチリと見開かれて黒い瞳がはっきりと見える。――今朝夢で見た男の子の顔が思い浮かぶ。
「あ! ハル君! え、うそ!」
思い出し声を上げる私に嬉しそうにコクリと頷く。
「よかった。思い出したんだね! まさかこの学校で会うなんて!」
「私もビックリだよ」
「あのさ、もう部活決めた?」
「え? いや、まだだけど……」
「じゃさ、ちょっと見て行こうよ」
「いいよ。掲示板見て帰ろうと思っていたところなんだ」
ハル君の申し出に、掲示板を見て帰るつもりだった私は二つ返事で返す。
いやぁ、こういう偶然もあるんだ。って、よく私だってわかったなぁ。
「じゃ、行こう」
ハル君は、何故か手を差し出した。
「………」
いやいや、手は繋がないから……。
「あ、ごめん。もう、小学生じゃないもんね」
照れながら、手を引っ込める。
うん。小学生じゃないからね。しかも低学年の時の話でしょう。
私達は階段の前にある掲示板に向かった。
掲示板には部活名が書いてあり、案内図のようになっていた。
部活名しか書いてないんだけど……。えっと、合唱部に読書部って地味のしかないの?
運動部に至っては、卓球部しか名前がない。随分偏った部活動ね。その中に不思議な部活名を見つけた。
「……ファンタジー部?」
「あ、やっぱり興味ある?」
「え? いや、珍しい名前の部だなと思って……」
「そうかな? ところでよかったらさ、一緒に同じ部に入らない?」
ハル君は、そう聞いてきた。
誰かと一緒に入らないといけないし、知っている人との方がいいかと頷いた。
「うん。いいよ」
「よかった。じゃさ……」
「ハル! もう来ていたのか。って女?」
ハル君の言葉を遮るように声を掛けられ、私達が後ろを振り向くと、そこには二年生の先輩が二人立っていた。学年はネクタイの色でわかる。一年は赤、二年は青、三年は緑とそれぞれ白とストライプ模様となっている。
女の先輩はお嬢様な感じのできりっとしていて、胸まであるストレートの髪がよく似合っている。
男の先輩の方は、これがまたブレザーが全く似合わない髪型をしていた。いや違うか……髪がないから髪型とは言わないよね。つるっつるだよ。
どういう組み合わせなの? お嬢様と坊主って……。
「あ、カナ……」
ハル君の知り合いっぽい。まあ、ハルって声を掛けていたものね。
「まあ、いっか。行こうぜ。こっち」
ぼけっとしていると、カナと呼ばれた男の先輩の誘導で部室の方へ移動する。来た方向に戻り、右手に曲がれば教室の方向の所で立ち止まる。
左側にはドアがあり、女の先輩がカギを開けドアを開く。
「どうぞ。おはいりになって」
その言葉に、私達は部室に入っていく。って、もしかしてこの部に入るわけじゃないよね?
私は不安になった。だって入る時にちらっと見ちゃったの。ファンタジー部と書いてあるのを……。