「彼女アメリアさんって言って、さっき男の人に追いかけられている所を助けたんだ。それで……」
 「そういう事か! 警察に連絡をすればいいんだな」

 唐突に話すハル君に、なるほどとおじさんは頷き携帯を取り出した。

 「え? 違うよ!」
 「違う?」

 慌てて言うハル君の方を見て、じゃ何だと言う顔つきになる。

 「アメリアさん、異星人みたいなんだ!」

 その突拍子もない言葉に一瞬静まり返った。何故そうなるのだろうか? 確かにマリアさんには見えていないようだけど、そこで何故、異星人なのよ!

 「何を言っているんだ……?」
 「なるほど! それならわたくしに見えないのも納得できますわ!」

 力強くマリアさんが頷く。納得しちゃうんだ……。

 「はぁ……。お前達は父さんの影響を受け過ぎた! 何が宇宙人だ!」
 「宇宙人じゃなくて異星人!」

 ハル君は抗議する。大して変わらないような気もするけど……。

 「どこが違うんだか。いいかい。魔法使いだって信じてもらえない世界なんだぞ。そもそもなぜ、異星人だと言えるんだ!?」

 うん? 何故ここで魔法使い?

 「それは、マリアさんに彼女の姿が見えないから!」

 ハル君の言葉にお父さんはマリアさんを見た。彼女は真面目な顔で頷く。次にアメリアさんを見た。

 「見えていない様です」
 「他人を巻き込んで何を企んでいるんだ! いい加減にしろよ!」

 彼女の言葉を聞いて、隣に座る二人に言った。

 「マリアがそんな事に協力する訳ないだろう? 俺達以外の人間にも見えていないみたいなんだ!」

 カナ君は、そうおじさんに反論する。

「しかし魔法使いならまだしも異星人って……」

 ちらっとマリアさんとアメリアさんを見ておじさんは呟く。確かにマリアさんがこんな訳の分からない芝居はしないと思うけど、何故魔法使いと比べる必要があるのだろうか?
 もしかして……

 「ハル君のお父さんって魔法使いを信じている?!」
 「俺達に出会った時に、アメリアさんはこの世界の人って言ったんだ! という事は地球人じゃないって事だろう?」

 カナ君の説明に被るように、私は至った答えを口に出していた!
 一斉に叫んだ私を皆が振り返る。

 「何を言っておりますの? ルナ。当たり前ではありませんか。おじさまも立派な魔法使いでしてよ」
 「え……?」

 マリアさんのまさかの説明に私は目がテンになる。信じている所か本人も魔法使いだと言う。

 「ちょっと待て!」

 おじさんが私達の方を向いてそう言った。
 やっぱりマリアさんが思い込んでいるだけね。

 「もしかして、ルナって小学生の頃、近所にいたルナちゃんか?」

 訂正をすると思いきや違った。

 「あ、はい。よくおじゃまをして……」
 「いやぁ大きくなったな! ルナと聞くまで気づかなかったよ。……そうだな。ルナちゃんも見えているとなると、アメリアさんが魔法使いからかもしれない。どうです? アメリアさん」

 ……うん? 懐かしむ話ではなくて? 結局魔法使い? 意味わかんないんですけどぉ!!

 「魔法使いです。……もしかしてこの世界では魔法使いは珍しいのですか?」

 注目する中アメリアさんは、躊躇する事無く魔法使いだと言い切った! ついて行けてないのは、私だけの様です……。

 「やはりそうか! 父さんにそんな事を聞いた事があった。普通は魔法使いはこの世界の人間には見えないって!」

 おじさんは驚く事を口走った!