男子は体力と気力が勝負なので、甘い恋愛ごとに割く時間があるなら、少しでも自身の回復に努めたい気持ちはよくわかる。まして本気で一位を狙っている晄汰郎なら、毎年上位に名を連ねる強者もいることだし、一瞬たりとも気は抜けないだろう。

 でも、彼氏と彼女なのに。そう思うと、どうしても眉間に深いしわが寄ってしまう。

 あいつ、本当に私が好きなんだろうか?

 考えてもキリがないけれど、こうも連絡を総スカンされてしまえば、嫌でもそんな疑いを持ってしまう。

「あ。詩のスマホ、震えてない?」
「え? あ、そう?」

 すると、もうひとりの友達が私のジャージのポケットを指さして教えてくれた。

 基本的に携帯端末の類いは背中のリュックに入れておくことになっているけれど、みんな、急に具合が悪くなったときにすぐに救護の先生を呼べなくて困るから、という理由でジャージのポケットに入れている。

 もちろん私もその通りだ。ハンカチと一緒に入れていたので、どうやら振動が体に伝わってこなかったらしい。急いで取り出す。

「……は?」

 けれど画面を見て、私の口からは真っ先に疑問符が飛び出ていった。……あり得ない。こっちはまだスタートすらしていないのに。