それに不思議と、今なら素直になれるような気がした。きっと晄汰郎が先に気持ちを正直に吐き出してくれたからだろう。

 やっぱりゴリラ坊主には敵わないな。

 ふっと笑うと、私は手に持ったままの本命お守りをぎゅっと握り直し、顔を上げる。

「……あのね、実は私――」
「っ⁉」

 すると、言いはじめたそばから、ゴリラ坊主がみるみる真っ赤なサルになっていった。

「おおお、お前なぁ~……!」

 そう言って盛大に頭を抱える晄汰郎に、私は「え? え?」とあたふたするだけだ。

 何か変なことを言っただろうか。ただ「好きなんだ」って。「だから晄汰郎の彼女になりたい」って言っただけなのに……。

「なんで先に言っちゃうの⁉ 俺が言おうと思ってたのに、バカじゃないのお前!」

 そう吠えた晄汰郎の顔はひどく真っ赤で、若干かわいそうなくらいだった。でも、そう言ったということは、つまり――。

「ああもう。俺だって宮野が好きなんだけど。だから、本当に俺のことが好きかわかんないうちにお守りをもらっても、なんの意味もなかったんだよ。でもよかった、ギリギリで好きになってもらえて。ちょくちょく目を合わせてた甲斐があったし、絶対りんごもらってやるってモチベーションも高まったし」