そんなに私が嫌い? そんなにウザい? みんなが見ている前で教室を連れ出したりして、晄汰郎は一体、何がしたかったの。

 私は先週から、ずっとずっと考えていた。

 なんであんなことを言ったんだろう、どうして今さら晄汰郎を意識するようになってしまったんだと、くるくる、くるくる、と。

 そして私自身、晄汰郎を彼氏にしたいではなく、彼女になりたい、と思いはじめていることにも、すごく衝撃を受けている。

 先輩たちがギンガムチェックとりんごパイに一喜一憂する姿が眩しくて、私も青春っぽいものがしたいと思ったこと自体は間違っていないはずなのに。なんでこんなに虚しいんだろう。胸が痛いんだろう。

 ……現実は、ちっとも私に優しくない。

 ひとつため息をつき、黒板を見るふりをして晄汰郎の絶妙な坊主頭を見つめた。

 晄汰郎の席は教卓の真ん前という、絶好なんだか最悪なんだか、今ひとつわからない席だ。

 ……あんたのせいで、こっちは混乱してるんだよ。どうしてくれるの、ゴリラ坊主。