一見すると相容れなさそうなのに意外にも親密な雰囲気が漂っていることに驚いたし、男子同士の砕けた言葉遣いにも驚く。

 晄汰郎って、本当に仲のいい人にはこんなふうに喋るんだ。全然知らなかった……。

 そう思うと同時、新しく知った晄汰郎の一面に、なぜか私の胸はとくんと鳴る。

 その当人は、ちらと私を見て、けれどそこには初めから誰もいなかったかのように、すぐに目を逸らした。そのまま笑いながら統吾たちのグループに近づいていく。

 統吾に絶妙な坊主頭をじょりじょり撫でられると、急にいつもの真顔に戻って迷惑そうにその手を払う。でも、真顔もその素振りも本心からじゃないことは、よくわかる。

 気心の知れた仲なのだろう。普段とのギャップに思わず足が止まってしまったけれど、でもきっと、こっちの晄汰郎が晄汰郎だ。

「お前は今年もトップテンとか狙って、じゃんじゃん歩きそうだなー。よくやるよ、105キロも黙々歩いて何が楽しいんだ?」

「そう言うお前は、今年も適当にだらだら歩いて途中リタイヤしそうだな。今から目に浮かぶぞ、へらへら笑って救護係の先生の車に乗り込むところ。そのうちバレるって」

「ははは。ひでーなー晄汰郎は。たかが、りんご一個じゃん。割に合わないことはしない主義なの。無駄に疲れたくないしね」

「……ほんっとクズだな」
「なんとでも言え、体力バカが」
「うっせ」