休憩中の生徒で賑わう二年生の階の廊下をずんずん連行されながら、私はもう、頭が真っ白だった。金曜日の自分でも説明のつかない奇怪な行動といい、今のこの晄汰郎のわけのわからない行動といい、本当にわけがわからない。

 他クラスの同級生たちに見られるというあまりの恥ずかしさも重なって、頬は皿に火照り、瞳にも薄っすら涙が滲んだ。

「ちょっ、えっ……?」

 そんな私のことはちっとも気に留めやしてくれずに、やがて先週と同じ別棟の空き教室へ連行した晄汰郎は、先に私を中へ通し、自らは後ろ手で戸を閉め、鍵までかけた。

 カチャンと響いた施錠の音に我に返った私は、さっきのように真っすぐに見つめてくる晄汰郎に尻込みし、反射的に後ずさる。

 まさか月曜日の朝っぱらから何かしようなんて考えてはいないだろう。けれど怖いものは怖い。

 だって鍵もかけられたのだ。十分、何かされている気がしてならない。

「五分、十分でどうこうするか、バーカ。教室だとうるさくて落ち着いて話せないから、静かなところに移動したんだよ」

 すると晄汰郎が、ふっと微笑をこぼした。

 あからさまに警戒する私を見てバカだと思っているのだろうか、鼻で笑われたような気がして、私の頬はまたカッと熱くなった。