呆然とする暇もなく、今度は後ろから声をかけられた。

「はっさく? どうしたの?」

振り向くと、パン田くんが
心配そうにこちらをうかがっていた。

「パン田くん、どうしてこんなところにいるの?」

「市立図書館で勉強しようと思って。それよりはっさく、大丈夫?」

パン田くんがちらりとフジミんの方に目をやった。
チャラ男にからまれているように見えたのかもしれない。

「あっ、うん。大丈夫大丈夫。
それより、私とここで会ったこと、
誰にも言わないで欲しいんだ」

「いいけど……本当に大丈夫?」

「うん、ありがとう。また明日、学校でね」

そう言って手を振ると、
パン田くんは何度も振り返りながら去って行った。
さてと、あとはこっちか。