「迷ったり、何かを探したいって思うのは、
自分の心と頭で進路を考え始めたってことだろ? 
さおりは順調に歩いているんだよ」

なるほど。言われてみれば、そうかもしれない。

「これからじゃないか? 
探してたら、きっと見つかるよ。たぶんだけど」

どうしてだろう。
この人に言われると、見つかる気がする。
私は小さな声で「ありがと」と呟いた。

いつの間にか、窓の外は明るくなっていた。
いつもより、時間が過ぎるのが早い気がする。

「付き合わせちゃってごめん」

「別にいいよ。日曜だし、
海に行くつもりでバイトも入れてなかったし。
それにしても何でだろ。全然眠くなんないや」

嘘ばっかり。そのコーヒー、4杯目だし。

「天気も良さそうだから、遊びに行くか」

残りのコーヒーを流し込み、
勢いよく立ち上がった直規の後を私は慌てて追いかけた。