恐る恐る顔を上げると、
背の高い詰め襟が呆然と私を見つめていた。
「ほづみさおり……さん?」
髪が伸びているけど、その顔は確かに
始業式の日に会った中学生だった。
ってことは、ここは高校生になった彼の世界で、
やっぱり彼は別の世界の人ってことだよね。
「やっと会えた。ずっと探してたんですよ」
「え? 私?」
「はい。あなた、本当は誰なんですか?」
誰って……八月一日さおりです。それ以外、何て言えばいいの?
「僕、去年の三年生の担任だった先生に
片っ端から聞いたんです。
八月一日さおりさんのこと。
でも、そんな生徒はいないって」
それってどういうこと?
そもそも、ここは西暦何年なんだろう。
「大学の方も調べたけど、見つけられなかった。
なのに、突然目の前に現れた。
しかも、去年と同じ姿で。
いったいどういうことなんですか?」
だって、私には2週間前のことだもの。
そう言っても、信じてもらえるわけないよね。
下手に言い訳をするとドツボにはまる気がする。
ここはとりあえず、強気に出よう。
「そういう君こそ、誰なの?」
「あ、そうでした。すいません」
彼はこの前と同じ素直さで頭を下げてから、
生徒手帳を差し出した。
「僕、八月一日健太って言います」
「え?」
その時、気づいた。
誰かに似ていると思ったこの顔が、
父と似てるってことに。
まさか……。
私は震える手で生徒手帳を受け取り、
身分証明書のページを開いた。
背の高い詰め襟が呆然と私を見つめていた。
「ほづみさおり……さん?」
髪が伸びているけど、その顔は確かに
始業式の日に会った中学生だった。
ってことは、ここは高校生になった彼の世界で、
やっぱり彼は別の世界の人ってことだよね。
「やっと会えた。ずっと探してたんですよ」
「え? 私?」
「はい。あなた、本当は誰なんですか?」
誰って……八月一日さおりです。それ以外、何て言えばいいの?
「僕、去年の三年生の担任だった先生に
片っ端から聞いたんです。
八月一日さおりさんのこと。
でも、そんな生徒はいないって」
それってどういうこと?
そもそも、ここは西暦何年なんだろう。
「大学の方も調べたけど、見つけられなかった。
なのに、突然目の前に現れた。
しかも、去年と同じ姿で。
いったいどういうことなんですか?」
だって、私には2週間前のことだもの。
そう言っても、信じてもらえるわけないよね。
下手に言い訳をするとドツボにはまる気がする。
ここはとりあえず、強気に出よう。
「そういう君こそ、誰なの?」
「あ、そうでした。すいません」
彼はこの前と同じ素直さで頭を下げてから、
生徒手帳を差し出した。
「僕、八月一日健太って言います」
「え?」
その時、気づいた。
誰かに似ていると思ったこの顔が、
父と似てるってことに。
まさか……。
私は震える手で生徒手帳を受け取り、
身分証明書のページを開いた。